2009年04月15日

“きょうどう”の風(3)ものづくりの技結集、中小の星

「我々の組合の『協同』は“狂同”かな」――。

 こんなジョークを言うのは東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA、東大阪市)の竹内修理事(67)。他のメンバーが「なるほど、そうかも」と笑う。

●当初から苦難

 この組合の発足は2002年。東大阪などの中小メーカーが集まり、目指したのは小型人工衛星の開発である。曲折を経て、今年1月下旬、衛星「まいど1号」の打ち上げに成功した。

“きょうどう”の風(3)ものづくりの技結集、中小の星 (日経ネット関西)

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<以下引用>
「我々の組合の『協同』は“狂同”かな」――。

 こんなジョークを言うのは東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA、東大阪市)の竹内修理事(67)。他のメンバーが「なるほど、そうかも」と笑う。

●当初から苦難

 この組合の発足は2002年。東大阪などの中小メーカーが集まり、目指したのは小型人工衛星の開発である。曲折を経て、今年1月下旬、衛星「まいど1号」の打ち上げに成功した。

 「中小製造業の町」といわれながら、東大阪地区では後継者が不足、活性化が大きな課題だった。「面白いものを作って、ものづくりに関心ある若者を集めよう」との思いで動き始めた。飛行機づくりなどの案は、アドバイスもあって小型衛星に決まった。

 構想は話題になった。国の中小企業活性化の流れにも乗り、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)から資金支援、技術移転も得ることになった。

 しかし、動き出してみると苦難続きだった。予想ほど企業が集まらず、技術力不足も分かった。運営を巡る組合員企業の意見の相違も表面化、夜遅くまでの会議が続いた。ピーク時に15社以上あったメンバーは半数近くに減っていく。

 技術開発も同じ。すべてをメンバー企業が開発、製作したわけではないが、振動耐性、軌道安定の確保、熱真空――。「どれも“宇宙基準”。1つひとつが苦労の連続だった」と棚橋秀行専務(48)は語る。

 一方、門戸を開き、率直に夢を語る組合には、様々な“助っ人”も現れた。公的研究機関や大阪大、大阪府立大、龍谷大など幾つもの大学であり、また研究者、若者たちである。

 多くの若者がかかわった中で、日本遠隔制御(東大阪市)の古山寛一さん(30)は大学院生時代からの参加。スピンアップホイール関連のソフト設計などを担当、一昨年、メンバー企業に就職した。棚橋電機(大阪市)の河前拓郎さん(30)は、システムや部品の各種テストを行った。

 組合には当初から、「若者」への思いがあった。参加企業が減るような中で、中核メンバーはあらゆる交渉事、決裁などを引き受けた。踏みとどまったのは、「若者を育てたい」「世代としての我々の責任」といった気持ちからだった。

 加えて、「若い人にシステムエンジニアリングということを学んでほしかった」と棚橋さんは言う。個々の専門や技術を深めつつ、全体をまとめ上げる思考や実行力、人、モノ、カネ、情報を束ねる力である。「中小企業、また日本の技術の弱点」でもある。

 中小メーカーによる同業、異業種などの組合は数多い。しかし、人や資金、時間の余裕に乏しく、協力して新技術開発などの実績を上げるケースは少ない。

●蓄積を次代に

 東大阪の組合がレベルの高い衛星を開発したことを評価しつつ、支援してきた大阪府立大大学院の大久保博志教授(60)は、「産官学連携の力を発揮するのに、この枠組みはよかった。だから皆がサポートできた」と話す。「“狂同”だったから、こんな難題に挑み、やり遂げられたのかもしれない」と笑う。

 組合は今月1日、理事会を開き組合の存続と、次の衛星打ち上げを目指す方針を決めた。メンバーは9社から5−6社に減る。「衛星の事業化は難しい」と認識しているし、開発費の問題も含め、未定のことはたくさんある。

 しかし今村博昭理事長(66)は、人と人の結びつき、集まったエネルギー、様々な技術蓄積は、「生かさないともったいない。若い人の望む方向に動く。彼らに賭けたい」と言う。その若者たちは「よい勉強だった。衛星は将来へのきっかけ」(古山さん)、「力を合わせれば可能性は広がる」(河前さん)と話す。

 協同組合は運営しやすい組織ではない。「でも利を追わないことで、多くの人や知恵が集まる。肩ひじ張らずにやる」(今村理事長)。棚橋さんは「『協同』『共同』『協働』といったすべてを含めた“きょうどう”が発揮できれば、小さな企業の集まりでも大きな仕事はできる」と言う。

 50センチ立方の小さな衛星は、たくさんの技術とともに、“きょうどうの夢”も搭載している。
(編集委員 山形健介)
posted by よてむく at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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